上村松園展 [美術展]
久しぶりにお出かけした美術展は、上村松園展。
終了目前だからか、平日午前中なのにもかかわらず、入場券を買うのに50分待ちとの表示。実際には30分程でしたが、土日は相当な賑わいだったことでしょう。しかし年齢層は落ち着いた雰囲気なので、ほっとします。
パンフレットには「息をのむ」と記されていますが、まさにそのとおり、息を凝らして見入る、吸い寄せられる、はっとする絵の数々。
このパンフの画「焰」を描いたのは松園43歳の時。(残念ながら、前期展示のみでみられませんでした。) 松園アラフォーのころは感情表現に重きをおいていたようです。この絵同様に謡曲から題材を得た「花がたみ」と言う作品の少女も怖いくらいの表情。アラフォー時は感情を表に出したくなるのね、と無理やり自分にこじつけて作品を観賞しました。
松園50に近づくと作風は明るく華やかになり、登場人物の表情も柔和で妖艶なものに変化をとげたとのこと。
自分の今の年齢あたりには、どういう作品を描いていたのか?と探すと・・・「楊貴妃」でした。(右上)何故か、納得しました^^
日々のくらし、母と子の情愛を描いた作品がまとめられたコーナーがあり、少女が合わせ鏡を用いて髪形チェックをしている「鴛鴦(おしどり)髷」、青い着物が風でふくらむ少女の歩く姿を描いた「風」、障子を修理している「晩秋」などに好感を持ちました。
上村松園展HPを見ますと昭和期にはいると「円熟と深化」とあります。
「古典の本質をつかんだうえでそれを借り、対象人物の内に秘められた感情をにじませる。
これこそが、古典という伝統を乗り越えた先に松園が目指したものなのです。」(HPより)
内に秘められた感情をにじませる、これって日本人特有の美学ですね~~。今日チリの炭鉱事故の救出模様をテレビで見ていて、あのハッピーな盛り上がり方は日本人には真似出来ないだろうと思いましたが(全員無事でよかった)、内的な抑制された美の表現は日本人のお家芸として大事にしていきたいですね。
購入したファイルと絵葉書。時計回りに「わか葉」「晴日」「母子」、ファイルは「待月」・・・グッズ売り場も大混雑で厳選する時間がありませんでしたが・・・
一番のお気に入りになった「鼓の音」
同じ題名で、赤い着物、青い帯のものがありましたが、こちらが好みです。鼓が3Dのように浮き立ち、今から鼓を打たんとする一瞬の空気感が伝わってきます。どの絵もそうですが、白い肌に指先がほんのりとピンクに染まり、艶っぽく匂い立つような雰囲気がありました。
松園展に行かれた方々のお気に入りは、どんな画だったのでしょう。
上村松園展HP http://shoen.exhn.jp/index.html
上村松園展に行かれたんですね~♡
この展覧会では普通の機会では見ることのできないような個人蔵も多く出品されており、過去最大の回顧展だったそうです。
男性ばかりの画壇でシングルマザーとして生き、文化勲章を受章するまでには筆舌に尽くし難いものがあったはずですが、秘すれば花、といった抑制の美を旨とした松園さんが内面の情熱を焼きつけた作品は『焔』と『花がたみ』の2作しかなく、それだけに心に迫ってくるんですよね。。。
私は今回は入ってすぐの場所にあった初期の作品『一家団欒』とトリの『序の舞』が特に心に残りました。
by てんとうむし (2010-10-14 23:44)
うっかりしてました。もぅ、終了間際なのですね。
自分の年代に合わせての観賞、そういう見方があったかと、
今後の参考になります。
たしかに、女子各年代に応じて精神面にもいろいろありますからね。
by pistacci (2010-10-15 22:23)
これも名古屋飛ばしでしょうねぇ。
てんとうむしさんのコメントで、初めて上村松園さんが
女性だと知りました(苦笑)。
by aranjues (2010-10-15 23:53)
ご訪問ありがとうございます。
てんとうむしさま、
序の舞は等身大の大きさで圧倒されました。研ぎ澄まされた筆致の品格のある画ばかりで、心打たれました。中のレストランも素敵ですよね。
pistacciさま、
アラフォー時の松園の描く少女は顎がシャープだったのに、晩年に近づくにつれ丸い優しいカーブを描いていました。年を重ねると心も体も丸くなりますね(笑)
aranjuesさま、
次は京都ですものね。女性画家ですし、美人画が多いから、会場内は往年の美女達で溢れかえっていました。
by roseadagio (2010-10-16 08:31)
上村松園はタンチョウ鶴を飼って描いている画家と思いましたが
そうではないのですね!!
by 匁 (2010-10-16 21:54)
匁さま、丹頂鶴を飼って書いている画家誰でしょうね、気になりますね。
by roseadagio (2010-10-18 08:07)
匁さまのコメントされている丹頂鶴を飼って描いている画家とは、上村松園さんのお孫さんの上村淳之さんのことでしょうか。
上村家は3代にわたり日本画家をされており、ご子息の松篁さんは動植物を、淳之さんは主に鳥を題材とされています。
僭越ですが、過去に記事がありますのでご興味がありましたらこちらまで↓
http://ladybeetle.blog.so-net.ne.jp/2009-03-15
by てんとうむし (2010-10-18 23:59)
てんとうむしさま、過去記事を興味深く読ませていただきました。
ありがとうございました。
親子とはいえ、それぞれに個性がありますね。
松園の生き様にも魅かれます。
by roseadagio (2010-10-19 13:05)