ローザンヌガラ2010 [バレエ]
素晴らしかった~~、感動、感銘、感涙
8月8日、青山劇場。「高円宮記念ローザンヌガラ2010」にお出かけしてまいりました。
ローザンヌ国際コンクールは15歳から19歳までのダンサーが対象で、1973年から始まり、日本人の受賞者は65人。その多くは海外に活躍の場を求め、一堂に会することは滅多にありません。日本人受賞者によるガラコンサートは2004、2007年にも行われ、今年で三回目。
芸術監督は熊川哲也。
熊哲氏はローザンヌコンクール1989年にゴールドメダル、高円宮賞を受賞。なんとこの年は東京で開催。
「どれだけのダンサーがローザンヌを経て世界で活躍できただろうか?コンクールでの賞はプロのカンパニーの中においてはなんら意味も持たない称号であり、ダンサーが成長し、アーティストとして成熟する過程においてはコンクールは必要であり、不必要な存在なのかもしれない。
古典芸術を継承する者として、若いダンサーの育成、輩出に使命感を感じずには居られない自分がいる。」(熊哲氏のあいさつ、プログラムより抜粋)
オープニングは「カバレリア・ルスカティーニ」と「威風堂々」の音楽にのせて、2009、2010コンクール出場者が踊ります。アクリ瑠嘉君、水谷実喜ちゃんなど、日本の名だたるコンクール上位入賞常連メンバーがずらり。中ノ目知章君が笑顔を絶やさず、伸びやかな踊りで印象的でした。
第1部
「ラ・バヤデール」より 佐々木万璃子
佐々木さんはローザンヌ2010、第3位スカラシップ受賞。容姿にも恵まれ、丁寧で正確な踊りでキープ力抜群。可愛い~~
「眠れる森の美女」第3幕グランパドドゥ 神戸里奈 蔵健太
チラシの中には神戸さんの名前が出ていなかったので、6月に続いて再び観られるとは!ラッキーでした。蔵健太さんは頭が小さく、バランスが良い体型。急遽代役で出ることになったようで、2人であわせる時間があまりなかったのか、2人の息がぴたりとあうという感じではなかったかな。
「譜と風景」 金田あゆ子 横関雄一郎
横関さんを観るのは昨年秋のネオバレエに続いて2回目。2人の身体能力の高さはわかるけど、演目が長すぎ。暗転してやれやれ終わると思ったら、明るくなってありゃ~、またはじまっちゃった、なんて思ってしまいました。
「タイス」パドドゥ 崔由姫 平野亮一
お2人とも英国ロイヤルバレエ団。アラブ風のオレンジ色の豪華な衣装に身を包み、オレンジ色のシフォンの布を顔にかけたり、長いキスをしたり、シックでアダルトな妖しさを醸し出していました。
「In The Middle,Somewhat Elavated」 斉藤亜紀、ヴィム・ヴァンレッセン
素晴らしかった!斉藤さんの190度は軽く開脚しているだろうと思われるしなやかな、キレの良い踊り方に衝撃を受けましたこの演目は昨年大好きな浅見紘子さんの踊りを観て、浅見さんが長い手足を良く活かしていると思ったけど、、、斉藤さんは小柄で足が長いともいえないけれど、表現力には圧倒されました。バレエで観客を魅了するには、容姿やスタイルが最大重要な要素、との固定観念は打ち砕かれました。きらりと光る個性こそが大切かも。
第2部
「海賊」よりグランパドドゥ 河野舞衣 ルカス・スラヴィッキー
河野さんは2007年の受賞者。お腹の見える青いチュチュで、生足にトウシューズ。腹筋がもりもり割れているのが見てとれるので、元気な海賊、との印象。お相手はやたら生白く、もうちょっと体を絞っていてほしかった・・・・
「Trace」 佐々木万璃子
前出の佐々木さん、ローザンヌのコンテンポラリーの課題曲。髪はひとつに結び、レオタードにスカートという、素の15歳に近いシンプルでナチュラルなスタイル、コンクールと同じ衣装と思われます。コンテなのに、愛らしくてけなげで可憐な踊り
「ロミオとジュリエット」よりパドドゥ 荒井祐子 清水健太
バルコニーの場面。荒井さん、6月の「眠り」のフロリナも良かったですが、しっとりとしたジュリエットも素敵じゃないですか~。清水健太さん、初めて踊りを拝見、ふんわりとした静かな着地で好きなタイプのダンサーではないですか~お2人ともさすがのKバレエのファーストプリンシパル。文句なしです。
「アダージェット」SHOKO ヴィエスラフ・デュデック
今回の公演のお出かけのきっかけはSHOKOさんを見てみたかったら。シックな黒いシャツの紳士、デュデックとショートヘア、黒いレオタード姿のSHOKOさん。SHOKOさんの一挙手一投足、カメラで連写してすべてがチャコットのポスターになりそうなほど、ひとつひとつのポーズが美しくて完成されています。瞬きをするのが勿体無いほど神々しいつま先の先の先まで強いプロ意識と美学を感じます。ふぅ~。SHOKOさんのグランパ見たかった・・・
「The Well-Tempered」 中村恩恵 首藤康之
曲はバッハのようなのですが、大ベテランのお2人のコンテンポラリー(・・・だと思うのですが;)がまた凄くて中村さんはお顔も地味で、いかり肩、ポスターの写真ではバレリーナとは思えない異色のダンサーのイメージ。首藤さんは髪はぼさぼさで鼻のまわりが赤い・・・ でも踊りが始まると、只者ではないオーラに包まれ、たちまち2人の世界に引き込まれてしまいました。知識も何もなく観た演目でしたが、凄いインパクト。首藤さんの鍛えられた筋肉に、なぜか自分もモムチャンダイエットでもしたほうが良いかしら?と思ってしまいました。
「チャイコフスキー・パドドウ」 加治屋百合子 ジャレットマシューズ
加治屋さんはアメリカンバレエシアターのソリスト。チャイコ、好きな作品なのですが、前の2人のど迫力であまり印象なく終わってしまいました。
観にいってよかった~日本のバレエの「これからの人」、「今、頂上の人」「円熟期を迎えている人」を一挙に見た感じで大満足。知名度はある大ベテランの踊りに食傷気味だったので、とても新鮮でした。こういう機会が沢山あって、日本人ダンサーがもっと国内で認知されると良いな、と思います。何しろ、バレエは独り立ちするまでにお金がかかり、怪我は多く、輝ける時間は限られていますから・・・
ガラコンは舞台装置はほぼ皆無で、地味にもみえますが、余分なものがそぎ落とされる分、ダンサーの踊りを堪能できます。過去の公演はテレビでも放映されたとのこと、テレビでまた観られるといいな~。
次の機会も必ず逃すまい、と心に誓ったのでした